山田花子ものがたり

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ハロウィン当日の風景

「スージーちゃん、なんかいい匂いがする」
「まだ食堂までだいぶあるんだけどね。今日はハロウィンだから」
「ハロウィンって仮装して歩いたらお菓子がもらえるんだよね!」

私それ聞いて外国に生まれたっかたなーって思ったんだ。
そう続ける花子にスージーは吹き出す。
日本育ちだからなのかしら、相変わらずどこかずれているこの子がおかしくてたまらない。

「ハロウィンにはお決まりの言葉があるのよ」
「え〜っと、ハロウィンおめでとう!とか?」
「ぶほっ」

いつのまにか横にいた先輩が大きな音を立てて吹き出す。

「え、間違ってましたか?」
「いやいや花子。それはそれでとても愛らしいんだがここはtorick or toreatと言わないとね」
「torick or toreat、ですか」

もごもごと口の中で何度か言ってみた後、たまにしか見せない最上級のスマイルでこちらを見て言った。

「torick or toreat!」

そのときはすでに食堂に到着してしまっていたため数多くの生徒がそれを目撃した。
そのキラキラにやられてしまった者たちは鼻から溢れ出す赤い液体を抑えながら花子にお菓子を貢ぐのだった。
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