山田花子ものがたり

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クリスマス。
学校に残った生徒たちは、その食事のすばらしさに皆感動していた。
その中でも花子ほど感激をあらわにしているものはいないだろう。

「−−−っ!−−−っ!」

もはや言葉にならない喜びを隣に立っている友人にぶつけている。
その友人は放っておけばそのまま料理に突撃しかねない花子をどうどうとなだめている。

さて、お嬢様だとの噂がある花子が学校に残ることについては様々な推論が取り交わされた。
実家が権力争いの真っ最中で危険だの、武者修行だの、まあいろいろだ。
ただ飛行機代がもったいないだけという理由は誰も思いつかなかったようである。



花子はクリスマスを満喫していた。
朝起きてみれば今まで見たことの無いほど多くのプレゼントがおかれていたし、料理もかつて無いほど豪華だ。

「〜〜〜っごい!! 魔法ってすごいんですね!」

いろんな料理を山と取りながら花子は近くにいた先輩に話し掛けていた。

「ん? ひょっとして花子ってこれ魔法で出されたものだと思ってる?」
「違うんですか?」
「うん。魔法で食べ物は出せないんだよ。『ガンプの元素変容の法則』というのがあってね。その五つの例外の内の一つなんだ。だからこれは屋敷僕妖精達が作った料理なんだよ」

先ほどまで熱心に動いていた手が止まった。

「どうかしたの?」

会話に参加していなかったスージーが急に静かになった花子に声をかける。

「…………そんな」
「え?」
「魔法覚えたら食べ物に困らなくなると思ってたのに!」




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