山田花子ものがたり

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「本当にありがとうございました」
「いやいや、お礼を言われるほどのことではないよ」
「僕たちも是非君とはお近付きになりたいと思っていたしね」

この二年間ずっと探しつづけてきた厨房は、自力で見つけ出すのは難しいものでした。
絵画の梨をくすぐるって、最初にこの入り口を見つけ出した人は一体何を考えていたんでしょうか。

「ウィーズリーさんたちは、ご自分で厨房を見つけたんですか?」

そんな疑問を双子にぶつけてみました。

「さすがに違うさ」
「僕たちが目星はついていたけど入り方は分からなかったんだけど」
「偉大なる先人に知恵を授かったのさ」

ああ、先輩に話を聞いたんですね。言われてみればすごく普通です。
こうやって学園の秘密は代々受け継がれていくものなんですね…。
1000年の伝統をもつ学校の歴史に感銘を受けているうちに、グリフィンドール寮とレイブンクロー寮の分かれ道へと差し掛かりました。

「それでは、わざわざありがとうございました」

何のことかな笑って見せた二人に再度頭を深々と下げます。
厨房のあったあたりからグリフィンドール寮に行くには、ここを通るよりもずっと近い道があったことを私は知っていました。
シリウスブラックが校内に潜んでいるかもしれない危険な今、一人で出歩くことを防ごうとしてくれたのでしょう。
そんな中で歩いている私はどうなんだと言われそうですが、食への欲求には叶いませんでした。
さすがに油はきついでしょうけど、これで家に砂糖や塩なんかも贈れます。
お兄ちゃん喜んでくれるといいな。
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