いつか

□第十二話
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何が起こったのか良くわからなかった。
アイツに無理やり連れ出されて気がつけば目の前に家があった。

「あ……」

ずっと帰りたいと思っていた我が家。
記憶にあるよりも若干すすけた感じがするがそれはやはり美化していたのだろうと自分を納得させる。
よくよく見れば自分の格好もあの立て看板の前に立っていたときのものと同じだ。
いつも背負っているナップザックは消え懐かしい赤いランドセルがその背にはあった。

鍵っ子だった私たち。
忘れないようにランドセルに鍵を結び付けていた。
それを使って久しぶりの我が家へと足を踏み入れる。

家の中もまったく変わりが無い。
ふと、私がいなくなってからどれだけの時間が経っているのか気になった。
いつも日めくりカレンダーがおかれていたところを見るとなぜか三つのカレンダーが壁にかけられていた。
ひとつは私があの看板を見た日。
二つ目はその約三年後。
そしてもうひとつが更に十年ほど過ぎ一つ目から見た十四、五年後。

不思議に思ったけどなんだかとても眠たくなったのでそのまま眠りについた。
その日は夢を見なかった。
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