とりかえばや
□No.1
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ぼんやりと机に座ったまま考える。
ここは本当にマンガの世界なのだろうかと。
確かに並盛の風紀、雲雀恭也の存在は知れ渡っているし、ボンゴレファミリーもwikiに載っているぐらい大きなマフィアだった。
それならば、俺がここに生まれた意味とは何なのだろうか。
ハァ
結論の出ない思考を止め深くため息をつき歩き出す。
その足が向かうのは剣道場ではなく男子トイレ。
言い訳だけでなくほんとにちょっと行きたかったのだ。
歩みを進め目的地へとたどり着きドアを開けようと手を伸ばしたが、向こうから勢いよく開かれることによってそれはかなわない。
中から飛び出した少年はなぜかほぼ裸。「うおおおおおっ」と叫びながら走り去っていく。
ああ、そういえば二回目の死ぬ気弾は男子トイレだったな。
そこにたどり着くなんて、これは偶然なのだろうか。
それとも……。
それから普通に用を足し、普通に剣道場に向かい、普通にツナをもみくちゃにした巧は知らなかった。
そんな自分の姿をじっと見つめている小さな黒い影があったことに。