とりかえばや
□No.7
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時は流れ、新学期。
そのクラスはいつになくざわついていた。
原因は、最近活躍目覚しいツナの裸登校、ではなく。
委員長が夏休みの開放感に明かせて除草癖に目覚めてしまったと言う噂。
話の中心にいたのは、その噂の発生源であり目撃者である例の男ども。
「気のせいだったと思い込もうとしたんだが……。どう考えても委員長だったよ」
「しかも、よくよく思い返してみれば隣に男を連れていた気がする」
「正直、飛びつきたくなる可愛い子だった」
噂が噂を呼び、話題の当人が日課である水やり、及び飼育小屋の清掃から巧が帰ってきた時点で「2A委員長である倉沢巧は、夏休みに女装癖に目覚め、男をもてあそぶ悪女として名を轟かせていた」という内容へ摩り替わっていた。
口々にクラスメイトに寄ってたかられた巧は、深い深いため息をついた。
「なんとなく予想はしていたが、想像以上にひどい。初めに言っておく。あれは俺のイトコだ」
「大丈夫。みんなお前がどんな性癖に目覚めようとも生温かく見守ってやるから」
「うぁー。全然話し通じねえ」
結局この誤解を解くには、あらかじめ用意していたミニアルバムと話術を駆使しても尚一日の時間を要した。