短編・その他

□夏目観察帳 特別編
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×涼宮ハルヒの憂鬱


うちのクラスに転校生が来ると聞いたときにオレの胸に浮かんだのは他のやつらのようにどんなやつがくるのだろうと言った好奇心ではない。
ただ、またうちの団長が何か思いついてしまったのだろうという鈍い疲労感だった。
当然ハルヒはこの情報をどこからともなく聞きつけると、今日の活動は解散と言い放ち嬉々として転校生の情報収集に勤しみだした。
俺も気にならないわけではない。最もオレの場合気になるのは他のやつらと異なる部分にあると思われるのだが。

「でだ古泉。その転校生とやらはお前らの関係者か」
「違うと思いますよ。僕もたった今その話を聞いたところです」
「私たちとも関係ないはずです」

オセロをしていた古泉と、今日もおいしいお茶を入れてくださって朝比奈さんとは関係がないようだ。
ちらりと有紀に視線をやると首を小さく振って返事をくれた。

「となると普通のやつなのか」
「それはないでしょう。この時期に涼宮さんのクラスに転入など無関係とは思えません。案外新たな機関が登場するのかもしれませんよ」
「勘弁してくれ。残るは異世界人ぐらいしかないじゃないか」

それ以外の可能性はオレの貧困な想像力じゃ思いつきそうもない。



オレの願いが通じたのか、転校生は異世界人ではなかった。
翌日の放課後全員がそろうのを待ちわびるかのように発表された転校生の情報は中々驚くべきものだった。

「というわけで、明日編入予定の夏目貴志がSOS団へ入団することが今決定したわ!」

本人のいないところで決定するなと言ってやりたいのだが、その夏目君とやらはどうあがいても入団させられてしまうのだろう。
まだ見ぬ夏目少年に向かい黙祷を行ったところで本日の部活動時間は終了となった。



しかし次の日、その夏目貴志くん本人を目の前にして同情する気持ちが僅かながら薄れてしまった。
「夏目貴志です。家の事情でこのような時期に編入することになりました」
教壇の前に立ち自己紹介をするやつの姿は古泉以上に人目を引くものであった。
今までさぞかしもててきたのだろう。ならばその分ハルヒに引きづられ苦労するがいい。
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