□初音ミクの消失
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私は知っている、彼は私を道具としてしか見ていないと。彼が慈しみとも取れる目線をもって接しているのはあの子だけ。でもその子ですら彼にとって道具にすぎないかもしれないと思うと、やっぱりちょっと寂しいかな。私は確かに彼を好いているかもしれないけど、やっぱりあの子が大好きだから。あの子のためなら何だって、何て言えればカッコいいけど、多分私がここまで躍起になっているのも、きっと罪悪感があるからなんだろうなあ。父は私を大切にしてくれたけど、母は私も父もあの子も愛してくれなかったから。ごめん、ごめん、私ばっかり、私は確かに幸せでした。あなたは幸せでしたか。あなたは間違いなく、決して首を縦には振ってくれないでしょう。あ、でももしかしたら振ってはくれるかもしれないね、何せ優しいから。それでも、やっぱり到底幸せじゃないよ。誰があなたの事を幸せといえよう。私はそういえばあなたの笑顔をあれきり見てません。そもそもあなたすら見ていなかった。久しぶりにあったあなたは、いつの間にか大人びていて、あの頃の元気で可愛い印象よりも、綺麗で儚く、まるで壊れ物の様でした。こんなに日焼けしている私が恨めしいです。ごめんなさい、本当にごめんなさい。私ばっかり。これが私にできる精一杯の償い。あなたのためであると、胸を張って言える、最初で最後の最大の決断。もう私はぼうっとしてます。私はあなたにもう一度笑って欲しい。今度こそ笑って欲しい。幸せに、絶対に幸せになって欲しい。私はあなたを不幸にしすぎました。だから今度こそ笑って。楽しんで、暖かい人に…人たちに……会え、ま…すよう……に…………



 消  失


 さようなら、
 私、
 ×××は、
 今をもって、
 無くなります。



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