Nightmare NARUTO 2

□涙のしずく
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時間にルーズなのはいつものことだけれど
さすがに真冬に外で待たされるのはつらい。


何度か駅ビルの中に駆け込んで体を温めたが
そうしている間にサソリが来てしまうような気がして

結局また寒風の中、ロータリーまで出てきてしまったサクラは
手袋の上から息を吹きかけた。


自分はいつも待たせるくせに
待たされるのが嫌いだなんてわがままにもほどがある。


心の中で毒づきながら
ふとロータリーの対岸を見ると
人目を引く赤いRX-8がロータリー入り口近くに止まった。

ほっとして駆け寄ろうとすると


助手席から毛皮のコートを着た女の人が降り立って
運転席のサソリに軽く会釈をしたあと
駅の階段の方に向かっている。
ブーツを履いているのにひどく華奢な脚だ。


その場で立ち尽くしていると
赤のRX-8がいつの間にかサクラの目の前まで来ていた。


助手席のドアを開けると
ついさっきまで乗っていた人の残り香が強く香って足がすくんだ。



「何してる、さっさと乗れ。」


言われて慌てて乗り込んだけれど
今まで他の人が座っていた席はひどく居心地が悪い。


あの女の人、誰?
と聞いたところでまともに返事をしてもらえるわけもなく


自分の子供っぽさを露呈するだけの気がして
喉元まででかかった言葉を飲み込んだ。


毛糸の手袋も
校章の入ったカバンに下がっているマスコットも
スカートの下の素足も

何もかもが子供の象徴で
あの人とは正反対。

精一杯背伸びをしてつけてみたグロスも
大人の色香漂うあの人に比べたら他愛なく映っているだろう。
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