BL NARUTO
□秋は夕暮れ 冬は夜
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耳元で「我愛羅…」とささやく声に
ゾクっと身震いした。
背後から抱きしめられると、
懐かしい匂い。
片時も忘れたことがない人を五感全てで感じて
幸福感にめまいがしそうだ。
いつの間にか侵入してきた指に煽られ、
必死に声を殺していると
「我愛羅…名前を呼んで…」とうながされる。
最中に声をあげるなど恥ずかしい、
けれどナルトが望むなら…
「くっ…ちょっと待っ…ナルト!」
自分の声で目が覚めた。
まだ夢の中の快楽の余韻を引きずっている体を起こすと
小さくため息をついた。
以前なら艶夢を見ると
ものすごい自己嫌悪に陥ったものだか
なぜか夢の中の相手がナルトだとさほどでもない、
というより
もう一度寝直したらまた同じ夢を見られるだろうか、などと考えてしまう。
「なぜだ…?」
何というか
許されている気がするのだ。
このどうしようもなく動物的で野蛮な行為を。
愛とか恋とかそんな言葉があてはまるのかはわからない。
ただ、お互い許しあって、受け入れあっている、そんな気持ち。
「逢いたいな…」
自然に口の端から言葉がこぼれた。