仄かな光
□徒夢-アダユメ-
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暗いところを歩いている。けど怖くない、1人じゃないから。
ヨハンは両手を引かれて歩いていた。
両手の先にいる2人はヨハンより頭が4つ分ほども高い。この3人で手を繋ぐなんて久しぶりだ。
そうだよね。あれ、そうだったっけ?ねぇ――
「おとうさん!おかあさん!」
大きな声で呼びかける。2人は答えなかったがその代わりに優しく微笑みかけてくれた。
薄暗くて顔は見えないが相手の表情ははっきりと分かる。
見上げた彼らはヨハンが手を伸ばしても、やっと方に手が届くくらいの身長で、まだまだ超えられない大きな背中をしている。
そんな風に感じられたけれど、本当はヨハンがまだまだ小さいだけなのだ。
小学校で身長がクラスの誰より高くても、今は全然敵わない。
僕もあんなに背が高くなれば追いつけるかな・・?
小さなヨハンにとって、優しい両親は彼の世界の全てだった。