仄かな光
□徒夢-アダユメ-
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不意にヨハンを引く手が強くなる。2人の足が速まった。
「まって!おとうさん、おかあさん!」
声を上げても速度はぐんぐん増すばかり。必死に追いつこうとするが足がもつれてきてしまう。
「とまってよ、おとうさん、あかあさん!まって――」
このままじゃ、僕転んじゃうよ!!
するりと手から両親のぬくもりが離れていく。
「やだよ、いかないで。」
もう置いて行かないで。
2人は振り返りさえしてくれない。
一緒につれてってよ!!
走る、走る。暗闇の中、ただ両親だけ追いかけて。
小さなヨハンがいくら頑張ったって、いくら成長したって離れていく背中には追いつけない。10才、12才・・・・・・それは18才になった今も変わらない。
変わらないんだ。両親の身長をとっくに追い抜いていても。
「待ってくれよ、父さん母さん!一体どこ行くんだよ!!」
そう叫んだ瞬間、
「うわッ!!」
辺り一面が真っ白になった。あまりの眩しさにぎゅっと目をつむる。