仄かな光
□徒夢-アダユメ-
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恐る恐る目を開けるとそこはまた暗闇。でも先ほどとは確かな違いがそこにはあった。
両親がいない。その代わり2人を追いかけていた方向には小さな光が見える。
きっと父さんと母さんはあそこにいるんだ、俺も行けばきっと会えるんだ。
ヨハンにはなぜか分かった。すると心にも光が差してきたようだった。
行こう、と決意し駆け出そうと一歩踏み出した。
その時、
「駄目だ。」
右腕を誰かに、しっかりと掴まれた。
「離せよッ!!」
「駄目だ行くな。」
振り解こうとするが手は決して離れない。
「俺は行くんだ、父さんと母さんのところに!!」
光を見たままヨハンは言う。
「行っちゃ駄目だ。」
相手は一層力を強くした。
「どうしてだよ!?」
ヨハンは頑固な相手に怒りを覚えて振り向いた。が、それはすぐ驚きに変わる。
見慣れた鳶色の瞳。それは一番の親友のもの。更なる闇を背後にまとってヨハンの目をじっと見つめている。
「お前はあそこに行っちゃ駄目だ。」
その瞳と声の主は――
「・・・十代・・」
ぐにゃりと暗闇だけのはずの空間が歪む。
しかし最後まで、十代の姿だけはヨハンの視界で輪郭を保っていた。