text2

□立海雛
3ページ/11ページ

しかし、それに有無を言わせないのが幸村部長が恐れられている所以である。
流石、幸村部長。
敵なしッスね・・・・

「じゃ、じゃあ・・・何で千石さんを?」
「ん?それは単純に人数不足だから。あともう一人ほしいんだけど・・・」

どっかに転がってないかな、とでも言わんばかりに腕を組んで悩んだ様子の幸村部長。
すると、後ろから声がする。

「おい、赤也。これ、見てみろぃ」
「こ、こら・・丸井」

俺は違和感もなく、声にしたがって後ろを振り向く。
それから、俺は目を瞠った。
そこにいたのは。

「ほら、もうちょい堂々とせんと」
「堂々とできるか!・・・こ、こんな姿で」
「恥らうとキモさ三割増しだろぃ?ただでさえ、目に悪ィんだから」

三人官女の着物を着た真田副部長。
頬を少し赤く染め、ずいずいと押すブン先輩を叱っている。
後ろでは顔をおさえて、肩をふるわせる幸村部長の姿。
声はでてないものの、絶対に笑っていると推測できる。
幸村部長て、真田副部長困らせるの好きだからなぁ・・・
俺はそんな真田副部長目前に、必死に気持ち悪さを通り越した笑いを堪えた。
その隣では柳先輩が苦笑を浮かべている。
柳先輩、結構思ったよりは似合っている。
うん、きっと。

「俺も着替えてこようかな。三強で女装ってなかなか機会ないよね」

なんて、楽しそうに微笑みつつ、幸村部長も着替えを始めようとした。
俺は呆れた視線を心一杯送る。
すると、ガチャリ、と扉のあく音がする。
あ、やべっ。
幸村部長着替えてるし、柳先輩と真田副部長は女装してるから・・・
そう思って、俺はダッシュで扉に駆け寄る。
しかし、扉から顔を出したのは。

「お待たせ〜♪また、何か面白いことやるみたいだね?」

あ。
千石さん。
そう頭で考えてはいたものの、車は急には止まれないの如く走り出した俺も急停止は無理・・・・っ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ