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□千石奮闘記
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今日はやるって決めた。

きっとラッキーの女神も俺に微笑んでくれるはず。

だから。


今日はどうか、俺に干したての布団のように心地よく、蜜のように甘いデートをさせてください。







【千石奮闘記】















思い起こせば、今まで何度とデートというデートをしてきた。
しかし。
一番初めから甘いデートをしてきた、と言えばそういうこともなくもないが、あんまりない、と思う。
いや、会ってから手を繋いで歩くだけでも十分甘い気分で眩暈さえ覚えそうになるけれど、そういう甘さじゃなくて。
他の人から見ても、十分甘いピンクな感じ?
え?
十分ピンク?
そっか、嬉しいな。
ラッキー、ありがとう。
って、いやいやいや、そうじゃなくて。
もう一線越えてる恋人としては、やっぱり更なるときめきを与えたいと思うわけです。
いや、赤也が実際この頃ときめいてないのか?
様子はどうか?
って言えば、まだキスするだけでも真っ赤になっちゃったり、手を繋ぐのも頬を少し赤くするくらい純情クンだけど。
俺を無意識のうちに喜ばすのにも誰よりも長けていらっしゃるほどの小悪魔っぽさも健在。
だけど。

「よし、このくらい?」

喜ばせるのって恋人として当然でしょ?
俺は一枚の白紙にぞろぞろと書かれた文字の羅列に余すことなく目を通す。
うん、これで喜んでくれるかな?
でも、ちょっといつもよりベタすぎてつまんない?
長々と書かれた文字の羅列の中から消去法で赤線で消していく。
遠出は無理。
海、まだ春先でちょっと寒いよね。
山、は・・・いつでもいけるよね。
遊園地、この前行ったばっかり。
水族館、これは夏見に行く方が良いよね。
プラネタリウム、これ、赤也は寝ちゃうんだよね。
本物じゃないとつまんない、て言ってたし。
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