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□ヘタレとぜんざい
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「な、なぁ・・・光」
ヘタレな俺の先輩。
この人、鈍感やから絶対気付いてへんわ。
「何ですか」
「今日、放課後空いとるか?ぜんざい奢ったるわ」
「ほんなら行ったりますわ」
「・・・お、おう」
何、嬉しそうな顔しとんねん。
ヘタレ。
それに、やっぱり、気付いとらん。
俺は謙也さんと一緒にいられるんなら、別にぜんざい奢ってくれんでも行ったるわ。
ほんま、アホすぎて救いようない。
本当、どアホ・・・。
んで、そんなヘタレでアホで鈍感なこの人のこと好きな俺もどアホや。
【ヘタレとぜんざい】
「光、美味いか?」
謙也さんはこっちを見ながら、聞いてくる。
俺は白玉を掬いつつ、謙也さんに答えた。
「美味いっすわ」
「そうか、光はぜんざいがいっちゃん好きやからな」
「・・・っ・・」
ああ、もう、何やその笑顔。
何で俺より幸せそうな顔して笑っとんのや。
ドキドキ、と煩くなる心臓を無視して、白玉を見る。
熱々やからか、なんか妙に形が丸ではなく崩れとる気がする。
そんなの気にせずに口に運ぶ。
その間も、そうやろ?、と微笑む謙也さんに思わず見とれてしまう。