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□生意気な後輩
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なあ、何でいっつも俺のとこに来るん?


え・・・


本当は謙也んとこ、行きたいんとちゃうん?


・・・せやけど、


俺のことは気にせんでええから、謙也んとこ行ったり、きっと喜ぶで


ちゃうんですよ・・・部長、俺、


ん?どないしたん?


俺はですね、



・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・










【生意気な後輩】










謙也は昔から年下にはよう懐かれる。
今回もまた然り。
テニス部の後輩は揃いも揃って謙也の元へ行く。
デレデレしながら後輩の相手をしている親友を見て、俺は自然と微笑ましい。
それに対して、俺はどちらかと言うと尊敬の念を抱かれる方が多い。
謙也曰く、無駄のないテニスやら綺麗な顔やら、その完璧さが近寄りがたいんとちゃう?やそうや。
しかし、そんな中でも一人だけ、俺に寄ってくる後輩が一人。

「部長・・・」
「おお、財前、どないしたん?」

財前光。
謙也の恋人。

「謙也さんが鼻伸ばしてて相手してくれへんから一緒に打ち合い練習してください」
「おお、ええで?今日は珍しく練習前からヤル気満々やな」
「別に・・・そんなんやないっすわ」

また可愛ないことを言う後輩の頭をぐしゃぐしゃと撫でてやれば、セット崩れるからやめてください、とまた可愛げのない言葉が返ってきた。
でも、皆・・・少なくとも、四天宝寺テニス部レギュラーは皆知っとる。
これが財前なりの甘え方であることも、照れ隠しであることも。
ただ、やはりどうしても謙也の前でよくデレる。
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