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□first time
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「・・・・どうしたものか」

俺はバスの中、ある一つの決断を迫られていた。

選択肢1、見なかったふりをして、次の停留所で降りる。
選択肢2、見過ごせない。起こしてあげる。

今のところ、後者が心の大半を占めている。
その訳。
まず相手がテニスをやっていること。
座席に座って寝ている彼の横に置いてある大きいバッグにテニス用具が入っていることが分かる。
理由は簡単。
俺も少なからずテニス経験者だから。
次に彼が今、着ているジャージ。
3年間テニスをやっているのであれば知らないはずはない。
立海大附属中。

「あ〜、もうそろそろ着いちゃうな」

黒い癖がかかった髪、口は呼吸する度に開いては閉じる。
いかにも気持ち良く熟睡中、という感じだ。
今日は土曜日。
時間帯は朝。
考えられるのは、テニスの試合に向かうためにバスに乗った名無しくんは、長い道のりと昨日、何かしらの理由で夜更かしをしたため、眠くなりバスでうとうとしている内に寝てしまった。
うん、まあ、ベタな展開だけど。
まあ、しょうがない。
これが女の子だったら喜んでやるけど・・・
ここで出会ったのも何かの縁。
親切で起こしてやるか。
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