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□英語苦手な理由
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「真田副部長、俺、また英語ダメだったんで、明後日再試あって・・・その、だから」
「・・・」
「明日休ませてください!!!」

立海大附属中、テニス部部室。
キャップを被った男の前に土下座で頼み込む癖のある黒髪の少年。
テニス部にとってはまたか、という光景。
テストが終わり、結果に喜ぶ者もいれば、悲しむ者もいる。
その内、悲しみはしないがいつも英語に嘆くのはこの男、切原赤也だった。

「赤也、またか。お前は毎回毎回どうして・・・」
「ははは、すんません。真田副部長」

真田と呼ばれたキャップ男は眉間の皺がいつもより更に深く刻まれており、いかにもワンクッションおかずとも怒鳴りだしそうな雰囲気だ。

「しかし、中学なのに再試とは、ちゃんと勉強しているんですか?」
「してるッス!!・・・・テスト前に」

皆の冷めた眼差しが切原一点に集まる。
柳は軽く、ため息を吐いた。
まだテストだけならまだしも、この2年は小テストまでも悪い。
柳はふ、とこの頃気付き始めたことを口にした。

「赤也、お前、わざと悪い点数をとってるんじゃないだろうな」

ぎくり、と切原の体が跳ねた。

「な、何言ってんスか!?俺は、別にワザとじゃ・・・・」

大体この反応を見れば、絶対と言っていいほど気付く。
丸井は風船を作っていたガムをもう一度口に戻した。

「ほ、ホントっス!!!」

真田は額を押さえ、柳に聞いた。

「何故そう思ったんだ?蓮二。」
「そうだな、まずは最近の赤也は今までテストが悪くても練習は休まなかっただろう。それを休みたいって言うくらい、テスト後は悪い点数をとったら良いことがあるのだろうと思ってな。よくよく考えてみたら、赤也は英語を」

ここで、真田以外の面々はピン、ときたのか、ニヤけだした。
一方、切原は悔しそうに奥歯を噛み締めている。
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