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□蚊とキスマーク
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また、事件はこのテニス部部室で起こるのである。






それは着替え中のときだった。
ぷちぷち、とボタンを外しながら、ブン先輩が言ったこの言葉が今回の火の種。

「あれ?赤也、お前、やけに綺麗な体してるな」
「そう言われれば、そうじゃのぅ」
「は?・・・何言ってんスか?」

俺はそのまま、ユニフォームを着ようとする。

「だってよ、普通、恋人持ちだったら」

ブン先輩の言葉が切れると共に、仁王先輩が柳生先輩のユニフォームをめくる。

「このくらいが普通だろぃ?」
「「!!」」

柳生先輩の体にはところどころ赤い点々が見える。
柳生先輩の頬が少し赤みを増した。
柳生先輩の反応、さっきからの会話の流れからすると、この赤い痕はもしかしなくとも。

「き、キスマークっスよね?」

実際に見たのは初めてだ。
あんなにくっきり残るものなのか。
相手は考えなくても分かった。
仁王先輩だな。

「よし。真田に見つからないように柳を呼んで来い。緊急会議だ!」

なんて、即座に先輩達は手配を始めた。
またか。
また、するのか。
俺の思考はそこで止まってしまった。
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