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□好きな数字
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「赤也、お前、好きな数字言ってみ。」

丸井は一つ下の学年の後輩に聞いた。

「・・・・何でっスか?」
「マジックだよ、マジック!で、好きな数字は?」
「ふうん」

昨日、仁王に教えてもらった誘導マジックを試しにしてみようとしたのだ。
紙に変な何十も重なっている四角の模様。まず、予言気取りで他の紙に数字を書く。
その後、相手に好きな数字を言わせる。
最後は知らないうちに誘導されて、予言されてた紙の数字と最後にでた数字が同じになるという仕組み。
忘れないうちにやりたい丸井は、あんまり興味のなさそうな後輩を急かす。

「何でもいいんスね?」
「おうっ!」
「じゃあ、1059。」
「は?」
「だから、1059ッス。俺の好きな数字。」

相変わらずあっけにとられている先輩を見つめ、切原は言った。

「いや、普通、どんなに大きくても3ケタだろぃ?」
「駄目っスよ。俺は1059じゃなきゃ駄目なんス!」
「はあ?」

ますます訳が分からないというように、眉間に皺をよせる。

「ああ、俺もう練習行ってますからね」

それだけ言い残すと、切原は去っていった。

「俺は、1059じゃないとだめ?」

不思議そうに最後に切原の言った言葉を繰り返す。
そこで、ガチャ、と扉を開けて部員の飲み物を買出しに行っていた柳とジャッカル、仁王、柳生が帰ってきた。
ジャッカルは両腕いっぱいに、柳生は片手にペットボトルの入った袋を、仁王と柳は全く持っていない。

「おかえり〜」
「おう、どうじゃった?赤也の反応は」

早速結果を聞きたがる仁王。
丸井は簡潔に言い渡した。
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