裏。

□君の存在
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Jr.選抜試合、シングルス1の試合で負傷した赤也。
そのままでは試合続行不可能とみなされ、赤也はそのまま病院に行った。
そして。
それっきり、君からの連絡はない。
何度も確認させられる。











君の存在。










携帯。
メールも返ってこないし、電話も通じない。
立海にも押しかけてみたけど、赤也の姿は無かった。
真田君は怪我が治り次第部活に参加させると言った。
クラスにも寄ったけれど、いつ行ってもとっくに帰っていると聞かされた。
心にぽっかり穴が開いたように、虚しい。
何をしても、何処まで追いかけようとも、君はいない。
まるで、君の残像を追いかけているよう。
どこに行って追いついても、そこに君はいない。
俺が追いかけたのは君の残像・・・実体がないのだから。
無意識のうちにため息がでた。
目の前で黄色いテニスボールが右へ左へ行ったり来たりを繰り返す。
赤也と連絡がとれなきゃ、あんなに好きなテニスをする気も起きないなんて。
俺はよっぽど重症らしい。
俺はもう一度深くため息をはいた。

「・・・・はあ〜・・・」
「ダダダダーンッ!あのお気楽な千石先輩がため息ついてるですっ」
「・・・壇くん、酷いなぁ。俺も人の子だから、落ち込むことだってあるよ」

壇くんが思いっきり心配そうに俺の顔を覗き込む。
その後ろに亜久津の姿がある。
興味の欠片もない、とでも言うように俺を見ている。
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