KRK 's BSK

□繚乱
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「好きっス、優姫っち!オレと付き合ってください!」



「はあ…。黄瀬くん、また来たの?いつも言ってるでしょ、返事はNOよ。」



「好きになってもらえるよーに頑張るっスから!付き合ってほしいんスよ!」




頻繁に飽きもせずに会う度告白してくるこの目の前の黄色い髪の男。

元帝光中学バスケットボール部のキセキの世代の一人、現海常高校バスケットボール部員の黄瀬涼太。

スラリと高い長身に、その恵まれた外見から、モデルとしても活躍している。




「海常から誠凛まで、遠いでしょ?練習は?また先輩に怒られるよ。」




あたしは誠凛バスケットボール部のマネージャーをしているココの一年生だ。

主にリコさんのサポートや部員のみんなの体調管理、身の回りのお世話などをしてるんだけど、こないだの海常との練習試合の時に会った黄瀬涼太に、何故か妙に懐かれて今に至る。




「オレ、本気なんスよ!」




そう言って縋るようにあたしを見つめる黄瀬くんは、確かに端正な顔立ちをしていて、それはそれはモテるだろう。

実際、女の子に囲まれているところを何度も見たことがある。

だけど生憎、あたしは全く興味がなくて。




「あたし、黄瀬くんみたいな派手な人好みじゃないし、もっと可愛い女の子いるだろうから、他あたれば?」



「他のコなんかに興味ないっス!優姫っちが、初恋だから…。」



「…あたしの何がそんなにいいのかわかんないけど、」



「全部っス!優姫っちはオレの事、色眼鏡で見ないでくれるから、安心するんス。」




へらり、と笑った黄瀬くんに、少し同情した。

中学の時からモデルをやっていて、それに加えてキセキの世代と騒がれて。

きっと黄瀬くんは、今まで周りにいた女の子達に、高級バッグの品定めをするような目で見られて来てたんだろう。

黄瀬涼太という一人の人間としてではなく、彼に備わるスペックやブランドに惹かれた女の子達。

嫌気がさすのも無理はない。




あの練習試合の日。

海常に見事勝利を収めて、騒いでいたウチの部員達にあたしも嬉しくなった反面、反対側で一人泣いている黄瀬くんに気をとられた。


ウチが勝ったとはいえ、彼のプレーは凄かった。噂には聞いていたけれど、キセキの世代の凄さを改めて認識したくらいだ。

だから、その黄瀬くんのどこかさっきより小さく見える背中が気になって。

上で見ていたギャラリーのガッカリしたような勝手な言葉に苛ついて。

そっと近付いて声をかけた。



(あの、黄瀬くん…だっけ?)

(…誠凛の、マネージャーさんスか…何か用スか?)



涙に濡れた、少し警戒と憎悪の色を含んだ瞳に、あたしは怯む事なくタオルとタッパーを差し出した。



(…何スか、コレ…。)

(レモンの蜂蜜漬け。あたし、あなたのプレー好きだよ。だから、自信持っていいと思う。リベンジ待ってるから。今日は試合してくれてありがとう。)



それが始まりだった。

次の日、部活中のウチの体育館まで来た黄瀬くんは、突っかかる火神くんをスルーして、速攻あたしに告白した。

黒子くん以外の部員のみんながひっくり返ったのも初めだけ。
今はいつもの光景として流されてるけれど。




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