KRK 's BSK
□共鳴
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「ねー、真ちゃん。元気出して?」
「…煩いのだよ。」
「リベンジすればいいだけだって!ね?」
「……。」
I.H予選で、真ちゃんの学校、秀徳高校は、黒ちゃんの通う誠凛高校に負けたらしい。
それを黄瀬っちから聞いて慰めに来たんだけど、結構なダメージだったらしく、部屋には入れてくれたもののずっとこの調子だ。
真ちゃんは平気そうにツンとすまして本を読んでいるけれど、如何せん機嫌が悪い。わかりやすいな。
きっと、本の内容だって頭に入ってないのだろう。さっきからページが全く進んでいない。
あたしは今、黄瀬っちと同じ学校でバスケ部のマネージャーをしているけれど、元帝光中のマネージャーでもある。
そして、目の前にいる緑間真太郎とは、中3の時から付き合っているわけで。
「真ちゃーん、あたし帰った方がいい?」
逆に邪魔かな、と腰を上げようとすると、真ちゃんは読んでいた本をぱたんと閉じてあたしに視線を向けた。
「試合の疲れが残っているから、ちょっと眠りたいのだよ。寒いから、一緒に寝るのだよ。」
「え?」
驚嘆の声を上げるあたしにはおかまいなしで、真ちゃんはさっさとベッドに入ってしまった。
「さっさと来い。」
あたしに背中を向けたまま、そう言い放った真ちゃんの背中がいつもより少し小さく見えて。
ほんとに、甘えるのも愛情表現も下手だなあ、なんて思って、緩んだ頬もそのままに、真ちゃんの隣に潜り込んだ。
「真ちゃん、こっち向いて?」
緑の髪を手で梳きながらそう言うと、真ちゃんは少し躊躇ってから身体をこちらに向けた。
あ、珍しく素直かも。
「真ちゃん、」
「…何なのだよ。」
至近距離で向かい合ったまま、訝しげにあたしを見つめる真ちゃん。相変わらず睫毛長いな、ほんと。
そっと真ちゃんの眼鏡に手を掛けて外す。と同時に、唇にそっとキスを落とせば、真ちゃんはぱちくりとまばたきをした後、かあ、と耳まで真っ赤になった。
「キスなんて別に初めてなわけでもないのに、まだそんなウブな反応する?」
真ちゃんの眼鏡をサイドテーブルに置いて、くすりと思わず笑うと、真ちゃんにキッと睨まれた。
「煩いのだよ。黙って寝ろ。」
その冷たい言葉も、照れ隠しって知ってるから何とも思わない。
ほんと、ツンデレなんだから。
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