KRK 's BSK

□甘美
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「優姫ちーん、お菓子はー?」



「むっくん、さっきも食べたでしょ?もう暫くは駄目。」



「えー。」




そう告げると、むっくんこと紫原敦は、お菓子の空き箱をゴミ箱に捨てて、あたしのベッドにうつ伏せに転がった。

そのまま顔だけこちらに向けて、不満そうに頬を膨らます。

可愛いな、おい。2m8cmの子供か。




「そんな顔しても駄目。」



「優姫ちん厳しいー。」



「甘やかしてばっかは良い教育とは言えないからね。」



「えー?オレ優姫ちんと同い年なのにー。」




そう言ってバタバタと枕に顔を埋めるむっくん。やめてください、ベッドが壊れます。

あと、精神面ではあたしの方が遥かに上だと思うけど。




「むっくん、」



「…なにー。」




とろん、と無気力な瞳があたしを映し出す。

ツン、と拗ねたように尖らされた唇に、そっと唇を重ねた。




「…優姫ちんの唇甘いから我慢するー。」




そう言って、今度は自分から唇を重ねてくるむっくん。

ああ、これだから。
天然タラシっていうの?色気垂れ流しって感じで困る。

50cm以上も身長の高い目の前の彼が可愛くて仕方ないんだ。




「お菓子ばっか食べてたら、ちゅー出来ないでしょ?」



「んー、両方同時に出来たらいーのにねー。」




いやそれは無理でしょ、流石に。

それでも、むっくんのあたしを見つめる瞳は、確かに大事な物を見るそれで。




「あたしは、お菓子よりむっくんの方が好きだな。」




そう言って仰向けに寝返ったむっくんの上に覆いかぶされば、むっくんはキョトンとあたしを見上げて。




「…オレも、優姫ちん好きー。お菓子はいつでも買えるけど、優姫ちんとはそんな頻発に会えないしー。」



だから、今日はもーお菓子なくてもいーよ。

むっくんはいつもの間延びした話し方でそう言うと、あたしの頭をそっと撫でた。


駄目だ、ほんと可愛い。




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