KRK 's BSK
□Step and Jump!
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帝光中学に入って二度目の春。
「桃井ー!タオルくれ!」
「桃っちこっちもー!」
「はーい!待ってすぐ行く!」
「だーから!さつき!何度言ったらわかんだよお前は!レモンは切れ!!レモンの蜂蜜漬けすらマトモに作れねぇのか!!」
「だ、だって丸ごとの方がいっぱい食べられるかなーって…。あ、皮は洗ってあるから!」
「そーゆー問題じゃねぇんだよ!!」
「全く…騒がしいのだよ。」
「もぐもぐ。」
見慣れたいつもの騒がしい部活風景。
いつもならこの辺で主将である赤司が制裁として練習メニューを増やすところなのだが…。
その本人は、その光景を壁に凭れて見つめたまま、ふと思案した。
「…もう一人くらいマネージャーが必要だな。」
思いついたらすぐ行動。
頭の回転も行動も早い赤司は、側にいた緑間に練習メニューの増量を言い渡すと、引き攣った顔の緑間を尻目に職員室へと向かった。
「さ、さささ三倍!!??」
「死んじゃうっスよ!!」
「黒ちんもう死んでるんだけどー。」
「お前らのせいなのだよ!こっちはとばっちり受けていい迷惑なのだよ!」
「それはさつきが!」
「ちょっとわたしのせいにしないでよ!…あれ?ミドリン、当の赤司くんがいないけど。」
「赤司ならさっき何処かへ行ったのだよ。」
「ふーん?赤司くんが部活の途中に抜け出すなんて珍しー。
そんな事よりみんな早くメニュー終わらせてよ!あたし今日は優姫と一緒に帰りたくて待たせてるんだから!」
桃井がそう言うと、そこにいた全員の頭の上にハテナマークが浮かんだ。変な空気が流れる。
「…な、何よ?」
「…いや、お前、女の友達いたのか?」
青峰の言葉にカッと赤くなって怒る桃井。
「失礼ね!女のコの友達くらいちゃんといます!!…優姫だけだけど…。」
「やっぱそいつだけかよ!つーか初めてお前の口から名前聞いたんだけど、何、前から友達だったわけ?」
「ううん、二年に上がってからおんなじクラスになってね、友達になったの!可愛くて面白くて優しくて頭もいいの!」
嬉しそうにポニーテールを揺らす桃井を、どこかホッとしたような目で見る部員達。
「よかったっスねー!桃っち、女子に嫌われることはあっても、好かれることはなかったっスから!」
「女子の嫉妬って怖いよねー。黄瀬ちんのファンとかマジ怖いしー。」
「ちょ、紫原っち!?いや、まあ反論は出来ないっスけど…。」
「そんな事よりさっさとメニューをこなすのだよ!赤司が戻ってくるまでに終わらせないと更に増えるのだよ!」
わらわらと各自散らばっていく部員達。桃井の周りに残ったのは青峰と黒子だけになった。
「まあ、よかったな。折角出来たダチなら大事にしろよ。」
「当然!わたし優姫大好きだし!」
「よかったですね、桃井さん。」
「テツくぅ〜ん!!」
ぎゅっ、と桃井に抱き着かれて苦しそうにする黒子。これもすっかりお馴染みの光景だった。
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