KRK 's BSK
□奪処
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「ゆ、優姫…何を考えているのだよ…。」
「んー?緑間くんの事、調教してみよっかなーって。」
「ちょ…っ!ななな、何を…、」
そんな言葉を簡単に口にするな!
と真っ赤な顔で怒られてしまった。
「それから、早く退け!」
「緑間くん、顔真っ赤っかだけど。」
「…っ、それはお前が必要以上に近いからなのだよ!」
本当は、緑間くんはあたしを押し退けるくらい簡単に出来るはずだ。だけどそれをしようとしないのは、心の何処かで受け入れているからじゃないのかな。
「…緑間くん、あたし達の関係は?」
「…恋人、なのだよ…。」
先月、緑間くんに物凄く遠回しな告白を受けた。
それから付き合ったものの、部活のマネージャーと部員という関係では毎日顔を合わせるけれど、プライベートでは時間がなくてあまり会えなくて。
今日は休みの日だったから、あたしの家に来てもらった。
で、ケーキ食べて、お茶飲んで、映画見て、普段の疲れからか少しウトウトし始めた緑間くんをベッドに押し倒して今に至る。
「でしょ?じゃあ、いいんじゃないの?」
そう言うと、緑間くんは目を逸らした。
「…だ、だが、何故オレが、その…される側なのだ…。」
「うーん、あたしどっちかっていうとSなんだよね。それに、緑間くんがあまりにも可愛いからさー、虐めたくなる…。」
あたしの言葉に照れた緑間くんの隙をついて、ベルトを緩めにかかった。
「や、やめ…っ!「これも一種の人事だよ。ね?」…っ!」
にこり、と微笑んで言えば、緑間くんはとりあえず身体の抵抗はやめた。
いつも人事を尽くしてるもんね。真面目だよねー。でも、ちょっと真面目過ぎるかな?変なラッキーアイテム持ち歩いちゃったり、こんな風に巧く丸め込まれちゃったり。
「…っ、オレは、いつでも人事を尽くしている…。だが…経験がない事に対しては…流石に不安があるのだよ…。」
そう言って緑間くんは、下からあたしを見上げた。いつもは見上げてばかりだから、何だかすごく新鮮で。
色白いなー、睫毛長いなー、なんて、その少し不安げな色を映し出す瞳を見つめながら考えて、ふと思い出した。
「…そういや、キスもした事なかったね。」
「ん、っ…!」
そう言ってそのまま唇を重ねると、緑間くんのテーピングが巻かれた左手がシーツを握り締めたのが見えた。
ああ、ファーストキスなのに深くてごめんね。
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