BOOK6

□voice
1ページ/1ページ





「宏太、太陽がテレビに出てるよ、ほら。」



「お、相変わらずデケーなあコイツ。」




そう言うと宏太はクツクツと笑って、それから懐かしむように瞳を細めてテレビの画面に映る太陽を見つめた。




「もう二年くらい会ってねぇけど、元気そうだな。よかった。」



「あたしも、ツアー前に一回電話して、20分くらい話したっきり。」




あの時太陽はわたしに、《薮と光は元気?》って聞いてきた。

《元気だよ。》って返したけれど、少し距離を感じて、昔を恋う気持ちが胸を苦しくさせた。




「…翔央も、一年半は会ってねぇなー。アッチもアッチで忙しそうだし。おれらも忙しいし。」




《優姫、ちゃんとメシ食ってる?薮と光にも体調管理しっかりするように言っといてよ。》

一年前くらいにスタジオの廊下でたまたま会った時、そう言って笑った翔央が、昔の幼いなりに最年長としてわたしたちを引っ張ってくれていた翔央の姿と重なって見えて。




「…宏太…。」



「ん?」




ソファーで隣り合わせに座る宏太の腕に何となくしがみつくと、宏太は一瞬驚いて、それからそっとわたしの頭を抱き寄せた。




「ひまわりのメロディってあったよな。懐かしいな。」



「うん、」



「ジャンプももう6周年か、早いな。」



「うん、」



「何だかんだと光とのシンメももう11年目だし。」



「うん、」




相槌を打っていると、不意に全身を包み込むように長い腕でぎゅう、と抱き締められて。




「お前とは、もう13年一緒にいるけど。時々、ふとお前が消えちゃいそうな気がして、すっげー怖くなるんだ。」
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ