BOOK6
□late
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昔から、宏太は俺様的で素直じゃない子どもだった。
《ね、やぶくん、》
《…おれ、お前の“やぶくん”って呼び方嫌い。何か舌っ足らずだし。宏太って呼べば?》
《…こーた?》
《結局舌っ足らずだなお前。ま、いーよそれで。次やぶくんって呼んだらデコピンな。》
これは、宏太が小6、あたしが小4の時の会話。
《宏太、はい、バレンタインのチョコ。みんなに配ってるの。》
《おれチョコとか甘ったるくてそんな食わねんだけど。》
《じゃあ宏太の分太陽にあげるよ。太陽さっきすごい喜んでくれたし。》
《は?無理。いらねぇとは言ってねーし。》
これは、宏太が中3、あたしが中1の時の会話。
《ねー、今日の撮影で髪の毛巻いてもらったー。似合うー?》
《くるっくるじゃん変なの。》
《えー…翔央は可愛いって言ってくれたのになー。》
《翔央が言ったんならもういいだろ。浮かれんなバーカ。》
これは、宏太が高1、あたしが中2の時の会話。
この頃になると、あたしはもう宏太が所謂“ツンデレ”ってやつなのだと理解していた。ちょっとツン要素多めだけど。
それと、実はすっごい負けず嫌いで、口には出さないけど嫉妬もするし、あとかなりのシャイボーイである事もわかっていた。
それと、あたしの事を昔からずっと恋愛対象として見てるって事。
これに気付いたのはジャンプになってからだけど、それに気付いてしまえば、今までの言動全てが照れ隠しで納得がいった。
そんなシャイボーイ宏太を、あたしは今では心の中で小さな子どもみたいだと微笑ましく思って見ている。
そして、あたし自身、そんな宏太を嫌いにはなれず、むしろ好きだった。
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