BOOK7
□going
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「優姫ちゃん、やだ、」
二ヶ月前くらいから、あたしが、恋人という名目の下で、ストレス発散用の性的玩具として扱っている木くん。
メンバーでもある彼は、あたしに相当な想いを抱いているらしく、何されてもいつも文句を言わず受け入れていて。
あたしと付き合ってからは、今まで激しかった女遊びもピタリとやめて、今はあたしに遊ばれる側になっている。
で、今日はしつこいヤラカシに追いかけ回されたのもあって、すごくイライラしていたあたしは、仕事が終わってすぐに木くんをスタジオのトイレの個室に連れ込んだ。
どうしたの?優姫ちゃん。とか、ここ、女子トイレだし場所変えようよ。なんて不安げに声を潜めながら話しかけてくる木くんにさえイライラして、そのまま木くんを壁に押し付けてベルトに手を掛けた。
そして冒頭に至るんだけど。
「やだって、待って、優姫ちゃん、」
いつもは何したって、あたしの事を気遣って本気で抵抗しない木くんが、珍しく本気であたしの身体を押し退けようとするから。
「別れたいの?」
イライラに任せてそう冷たく言い放つと、木くんは動きを止めて、すごく悲しそうな表情であたしを見てから、俯いた。
「…それは…やだ…。」
少し震えた小さい声が個室に響く。
「じゃあ、大人しくしてられるよね?」
そう言うと、木くんはぎゅ、と唇を噛んで、小さく頷く。
抵抗しなくなった木くんの強張る身体を押し付けて、ズボンと下着を下ろすと、木くんが自分のシャツの裾を強く握りしめるのが見えた。
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