BOOK8
□via
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事務所内で、しかもグループ内で、恋愛なんて御法度だってわかってるんだけど、ちょっともう抑えられそうになくて。
そう、低い声が空気を震わせる。
おれ、ずっと前から優姫ちゃんのこと好きだったんだ。
その言葉に、女遊び激しい癖に?と皮肉っぽく問いかけると、木くんは怒られた子どものような、バツが悪そうな表情を見せて。
「…一時期、優姫ちゃんを忘れなきゃって思ってた時にね。でも、やっぱ無理で…。
あ、付き合いたいとか、そんなんじゃないから!そんな、厚かましいこと言うつもりじゃなくて、あの、気持ちだけ、伝えたくて…。」
オドオドと手を振って、あたしにそう弁解する木くんは、遊んでた割に純粋そうな表情を見せていて、少し驚いた。
「木くんって、やっぱりギャップあるよね。」
「へ…な、なに、いきなり。」
「面白そうだし、付き合ってみる?」
それが、始まりだった。
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