BOOK8
□nobody
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好きだった。
ただひたすらに好きだった。
今も、昔も。
芸能界という厳しく、時に汚い世界に染まっていく自分自身に、違和感も背徳感も持たなくなった、そんな時だって。
まだチビのガキだった頃に初めて抱いた優姫への恋心だけは、濁ることなく、純粋でまっさらなまま大切に抱えてきた。
「ふ、っう…、」
そんな相手から気まぐれに与えられる快楽と優しさは、合法ドラッグって表現がピッタリだと思う。ああ、でも、依存性ヤベーし、脳みそ溶けてってる感じもするし、違法かもなあ。
病んでるみたいで忍びないけど、大切で一途な想いを、ドロドロの欲望で汚して誤魔化すのは、虚しさだとか背徳感、切なさを胸が張り裂けそうなくらいに感じて、生きてる実感が湧く。
どう足掻いたって、この先おれの人生の中で、優姫以外の女を好きになる事なんて出来やしないんだから、おれが持ってる選択肢の中では、これがきっと、おれにとって一番幸せなルートに導いてくれたんだと思う。
「、ん…っ、…ぐ…、」
「声漏れちゃうくらい気持ちいいの?」
ふふ、と控えめに笑う優姫に、羞恥と興奮と、屈辱が混ざって顔が火照る。
おれのカラダ、こんな風に作り上げたのは、お前だよ、ばかやろ。
「、っう、るさい…」
「だって、ちょっと意地悪言うと、いのちゃんのナカすごい締まるんだもん。」
喜んでるのかなって思って。
優姫のその言葉に、ぶわっと全身の体温が上がった。
むり、恥ずい、なに、何それ。
「し、らない、そんなの、やだ、」