おそ松さん

□檸檬色の綿飴
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仕事の関係でこの町に引っ越してきて早1年。何の縁なのか知り合ってしまった、六つ子のニート達に絡まれる日々にももう慣れて。

不本意ながらすっかり見分ける事ができるようになってしまった。

まあ、いつの間にかわたしの家の合鍵を六つ子全員が持っていた事には本気でゾッとしたけれども。


仕事から帰ってきたら六つ子の誰かしらが家に居ることも珍しくはない。まあ、それを鬱陶しいとは思いつつも本気で嫌だとは思わないのだから、わたしも随分あの六つ子に毒されていると思う。


という訳で、六つ子との仲は比較的いいのだけれど。1人だけ、どうしても苦手な人物がいる。

さて。仕事を終えて家に帰ると、わたしのベッドで大きな口をぱかりと開けて気持ち良さそうに寝ている「苦手な人物」に遭遇したわたしは、がっくりと肩を落とした。




「…何でこういう時に他のニートはいないワケ?」




おそ松はわたしが「この松」が苦手なの知ってる癖に。



目の前ですやすや寝息を立てる五男ー松野十四松に、わたしは溜め息を吐いてそっとベッドの横に腰を下ろした。


十四松がわたしの家に1人で来るのは初めてだ。今までは、来たとしても他のニートと一緒だったから、完全に油断していた。

…しかも何でわたしのベッドで爆睡してんのこの子。



わたしと同い年にしては幼い寝顔をじっと見つめる。


十四松を苦手な理由は、自分でも正直わからない。

ただ、何を考えているのかわからない言動、常に口を開けた笑顔でいて、それでいて読めないような狂った事をする。それだけで、苦手な理由としては充分すぎると思う。




「…どうしよう…泊めてくれる友達探すしかないか…」




とてもじゃないけど、十四松と2人の空間は耐えられない。友達に連絡するため、鞄から携帯を取り出そうとした時、十四松が身じろいだ。




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