BOOK6

□touch
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やぶとそんな話をしたのが一週間前で。


いまおれは、優姫の家に一人でお邪魔していた。




「だから、これはこっち。さっきのやつ使うんだよ。」



「なるほどー。」




理由は簡単、優姫にExcelの課題を教えてほしいと頼み込まれたから。

一応理系学部のおれには、文系がやるExcelくらいなら分野が違ってもすんなりと教えられる。


お礼に、と優姫が作った和食のフルコースは相変わらずのウマさだったし、久しぶりに二人で過ごせるしでおれとしてはプラスな事だらけでいまのおれは多分めっちゃ幸せ満喫してる。




「ふあー終わった!いのちゃんホントにありがとう、助かった!」




軽く伸びをした優姫はノーパソをぱたりと閉じて、テレビの音量を少し上げた。




「お役に立てたようで何より。」



「うんもう大感謝!お茶淹れてくるね。コーヒーと紅茶どっちがいい?」



「んー、コーヒーで。」



「はーい、ちょっと待っててね。」




そう言って立ち上がった優姫がキッチンに向かうのを見届けて、おれは勝手知ったる優姫の家のデッキを駆使して、ペコペコとリモコンを操作しながら何か面白そーな番組が録画されてないかチェックする。

お、この映画こないだ録画し忘れたやつだ。めちゃイケスペシャルもあんじゃん。わーい。


そんな感じでリストを見ていくと、ふとある番組名に目が止まった。




「あ…。」




コレ、こないだ放送された、おれがバラエティ番組の企画で洞窟に入ったやつだ。

特に優姫に直接告知したワケでもないのに、知っててくれて、さらに録画までしてチェックを入れてくれているって事が嬉しくて。

同時に何かこっぱずかしさも沸いてきて、おれはひとりソファーで俯いて熱くなる頬に手の甲を添えた。




「…あっちー、」




もう、だからさ、こーゆートコ。ツボなんだって。好きなんだってば。あーもーほんと抜け出せない。やだやだ。




「何か観るの?」



「うわ、っ」




不意に後ろから話しかけられてどきりと心臓が揺れる。いや別になんもやましい事してねーけどさ!




「なにその声、こっちまでびっくりするじゃんもー。はい、コーヒー。」



「ワリ、さんきゅ。いやコレ観てぇなーって思ってたんだよ。」




そう言って、最初に見てた映画にカーソルを合わせる。




「あ、それオススメ。観る?」



「観る観るー。あ、でも終電。」



ちらりと腕時計に目をやれば、時刻はちょうど21時を上回る頃で。




「泊まっていかないの?」



「え、いいの?」



「うん、初めからそうするつもりだと思ってたし。」




ふんわり笑う優姫のお言葉に甘えて、おれは即決で泊まる事にした。




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