BOOK6

□late
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「薮くんってさあ、優姫ちゃんの事めっちゃ好きだよね。」




仕事の合間に、スタジオ近くのカフェで侑李とのんびりしていると、不意にアイスレモンティーをストローでカラカラと混ぜながら侑李がそう呟いた。




「んーノーコメントで。」



「いやーあれはわかりやすいツンデレでしょ。けどあれは優姫ちゃんの優しさに甘え切ってるからあんなツンツンした態度取れるんだよね。

こないだ優姫ちゃんが撮影で着物着た時だって、似合わないって言いながら、後からいのちゃん達がカメラマンさんに優姫ちゃんの写真貰ってるのすっごい羨ましそうにしてたし。」




ほんと素直じゃないんだから。

そう言って侑李は溜め息をついた。


こないだまで声変わりもしてなくて、ちっちゃかった二つ下の侑李もいつの間にかあたしの身長を超えていて、顔つきも中身も大人びた。




「宏太は昔からあーいう性格だから。けど宏太が本当に言いたい事はちゃんとわかってるよ。」



「優姫ちゃんてすごい大人だよね。優しいし、やっぱり優姫ちゃんといると安心する。」




へにゃり、と一転して子供っぽい笑顔を見せる侑李に、あたしも微笑んでミルクティーを一口飲んだ。




「ね、薮くんにちょっとお灸据えてみない?いつまでもツンツンしてちゃ駄目だってわからせるの。」



「え?うーんまあ、確かにもうちょっと素直になってくれれば嬉しいと思うけど。」



「簡単だよ。優姫ちゃんが薮くんに“彼氏ができた”って話せばいいんだよ。どんな反応するか、楽しみだね。」




そう言った侑李はすごく悪戯っぽく笑ってて、ああやっぱこの子小悪魔だ、なーんて。

けど、それは存外悪くないアイデアだな、なんて思ってしまったあたしも相当性格悪いかもしれないな。



その日の夜、あたしは宏太を家に呼んだ。




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