color〜Six Elements Stories〜

□第一章 青の巻
1ページ/5ページ

プロローグ〜変化する世界〜





 この日、朝から青の砂漠は大騒ぎだった。近くの青の村から幼い少年が迷い込んだと通達があったのである。おかげで高水は早くから起こされ、捜索にあたらされていた。
「ったく、何でこんな朝っぱらから…」
 ぶつぶつ文句を言いつつ、相棒のドラゴンモドキの滝とともに少年を探す。

 青の砂漠は特に目印となるものもなく、また絶えず変化する為誰もが迷ってしまう。また一日のうちだけでも四十度からマイナス二十度まで気温が変化し、何の準備もしてなければ生きていくことが難しかった。
 ちなみに青の砂漠の名の由来は瑠璃色の砂から。多分に水を含み、太陽が沈むと同時に急激に気温を下げる要因になっている。

 それから間もなく、高水の元に妹の水歌から少年を見つけたと連絡が入った。安堵しながらもやれやれと大きなため息をつくと、この青の砂漠の主、竜の縹の館へと帰ろうとした。
 グルル…
 耳障りな声を耳にして高水は振り返った。完全に正気を失った目をしたロングネイルドラゴンが一匹。高水はまた大きなため息をついた。
「またか…」
 そう呟くとほぼ同時にロングネイルドラゴンが大きな手を振りかざしてきた。高水はそれを素早く避けると滝を全く別の方向に飛ばし、ロングネイルドラゴンの意識を引き寄せる。その間に持っていた棒で後頭部を思い切り打ちつけた。
 急所を攻撃され、ロングネイルドラゴンはその場に昏倒した。高水は滝を呼び戻すと足早にその場から立ち去る。あくまで気絶させただけだったのだ。
 そして館へと足早に向かいながら高水は思っていた。何かが変わっていると。

 高水が館に戻ると、毛布にくるまった幼い少年と水歌がリビングでお茶をしていた。
「あっ、お帰りなさい。お兄ちゃん」
「ただいま。とりあえず無事みたいでホッとしたよ」
「でも意識を失いかけてたから、もう少し見つけるのが遅かったら危なかったかも」
 水歌は顔をくもらせた。
「助かったんだからいいだろ。それより縹は?」
「さっきまで男の子の治療してたから。そろそろ出てくると思うけど」
 その言葉どおり奥の部屋から縹が出てきた。ちなみに縹は人の姿をしているがれっきとした竜である。
「帰ってきてたんだね。高水」
「ああ」
「寒かっただろう?まずはお茶を飲んで温まろう」
 縹の言葉に水歌が二人のお茶を用意する。高水が一心地ついたところで縹が話し始めた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ