OTHER

□TENNIS(リョーガ受)
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『true motive』

「……何やってんの?」
「っ―――げ…越前!」
 ジュースとお菓子と…来客である桃城の為に取りに行って帰ってきたら、リョーマの部屋では目を疑うような光景が繰り広げられていた。
「げ、じゃないっスよ桃先輩。人の部屋で人の兄貴襲ってないでくれます?」
 桃城の体をグイグイと押し退けて、下にいたもう一人を引っ張り出す。
「え、越前っ…これは―――」
「アンタも、少しは抵抗したら?」
 焦る桃城を無視して、自分より少しだけ精悍な面立ちを睨みつける。
 その視線に含まれるのが、自分の部屋で行われた行為に嫌悪を抱いている所為ではない事に気付いているのは、視線を絡ませている二人だけ……
 リョーマが怒る意味を知りながら、ニヤリと笑みを浮かべるリョーガを憎らしく思う権利が、リョーマにはある筈だ。


 リョーガはリョーマの…想いを知っているのだから……


 長く思われる一瞬の膠着の後、リョーガは何事もなかったかのように口を開いた。
「…良いトコロで邪魔すんなよ。なぁ、桃城?」
「―――っ……!」
 チロリ…と紅い舌を出して笑うリョーガに顔を真っ赤にした桃城は、荷物を引っ掴むとリョーマを押し退けるようにして部屋を飛び出して行った。
「ハハハ…ウブだねぇ」
「アンタ、オレを試してんの?」
 桃城のものか、リョーガ自身のものか…唾液に濡れ光る唇を指で拭ったリョーガは前髪を掻き上げ、艶麗にリョーマを見上げてくる。
「さぁねぇ…俺はただ、あいつがキスした事がねぇって言うから、教えてやっただけだぜ?」
 悪びれないリョーガに、リョーマは唇を噛み締める。
「お?」
 お盆を床に置いて、リョーガの胸ぐらを掴む。
「……」
 噛みつくようにキスをして、誘うように薄く開かれた唇の奥へと舌を挿し込んだ。
 競うように互いの口腔をまさぐって、そのまま床に縺れ込む。
「っ…は、ぁ…」
 押さえ付けて、見下ろすと、リョーガの瞳は口付けに煽られて熱を孕んでいて……
 艶っぽい表情に欲望を刺激されたリョーマは、興奮に乾く唇を舐めて薄い笑みを浮かべた。
「ホント…素直じゃないんだから…」
「…ンだよ…っぁ…」
 シャツの下に手を入れてきめ細かい肌を撫でると、リョーガはピクンと体を震わせる。
「敏感だよね、こんなに小さいのに…」
「ゃめ…そこっ…チビスケ…ぁ…」
 指先に漸く引っ掛かるくらいの粒を、クリクリと弄ってやるとリョーガは頻りに首を振って身を捩る。けれど、尖ったそこを押し付けるように背をしならせる様は、更なる愛虐を求めているようにしか見えなくて……
「オレが最近、部活とかで忙しくて構ってあげられなかったから、寂しかったんでしょ?」
「違ぅ…っ…」
「今日はやっと構ってもらえると思ってたのに、桃先輩が来たから追い返そうとしてあんな事したんでしょ?」
「勝手に…っ…決め、…な…んっ…」
 仰け反り、露わになった喉に強く吸いつくと、綺麗に紅い花弁が散った。
「ベッドでたっぷり構ってあげるから、安心してよ」
 囁くと、リョーガは悔しそうに顔を歪めて……
「チビスケのクセに…っ…」
 リョーマの背中に腕を廻して、シャツを握りしめてきた。





 ベッドが……二人分の体重を受け止めて、激しい動きにギシギシと軋んだ音を立てる。
 服を脱ぎ散らかし、手探りで冷房を最強にして……
 獣のように深く交わる。
 シーツは既に少しの水気も吸収しない程に様々な体液が染み込んでいて……正気なら噎せ返るような、淫靡な空気に満ちていた。
「ぁ、ぁあっ―――!」
「っ……」
 引き絞られる狭い肉壁に大量の欲望を吐き出して、大きく息をついたリョーマはシーツに突っ伏すリョーガの体を反転させる。
「んっ…ぁ…」
「今度はこっち…」
 繋がったまま仰向けに転がしたリョーガの脚を抱え上げ、また激しく腰を使いだす。
 若い欲望は未だ硬度を失っていなくて、絡みつく媚肉を圧倒的な力で擦り上げる。
 シーツに体中を擦りつけていたリョーガは自分の精液にドロドロで…体内はリョーマの放った精液が溢れるくらいに詰まってグチュグチュと卑猥な水音を立てていた。
「ふ…ぁっ…ぁ、あっ…チビスケ…!」
「リョーガ、声…今日は母さんも親父も下にいるんだから…」
「ぁ、んっ…ム、リ……ったら、そこ……やめっ…」
「ここ?」
「ひぁっ…!」
 裡のしこりを切っ先でグリグリと押してやると、リョーガは悲鳴を上げて首を振る。
「気持ち良いんでしょ?やめたらアンタ…」
「…っ……」
 言葉に従って弱いところへの追撃をやめると、たちまち恨みがましい…それでいてモノ欲しそうな瞳を向けてくるリョーガは、自分の艶めかしさを理解していない。
「そうやって、可愛くなっちゃうんだから…これ以上素直にならないでいたら、もっと虐めて泣かすけど?」
 リョーマは苦笑を洩らして、リョーガのイイ場所に当て直してやる。
 但し、先程までとは違って軽く、表面を撫でる程度にしか力は入れてやらない。
 滅多な事では素直になれないリョーガへの、逃げ道を作ってやったのだ。

 どこを…

 どんな風に…

 どうされたら気持ち良いのか…

 言わせたい事は沢山あるけれど……
「リョーガ…」
 言葉を促すように名前を呼ぶと、震える唇が懇願を零す。
「…擦れよ…っ…」
「……まだまだだね」
 少し物足らないけれど、これ以上はぐらかすと本気で拗ねてしまう。
 リョーマはリョーガの脚を抱え直して、深い悦楽の場所を抉ってやった。
「あっ…ぁ…ぁっ…チビスケ…!」
「リョーガ…名前、呼んで…」
「……っ…リョ…マ…」
 愛しい人の唇から零れた自分の名前に心が熱くなる。
「好きだよ、リョーガ…オレに感じて…?」
「ん、ぁっ…ふ…んん―――!」
 勿体なく思いながら唇を塞いで、上がる嬌声を呑み込んでしまう。
 こうすればリョーガの熱い吐息は自分のものだし、色っぽい嬌声が下の階に聞こえる事もない。
 上も下も溶け合ってしまいそうなくらいに繋がって……
 存分に暴れたリョーマは、リョーガがグッタリと四肢を投げ出し、呻き声すら上げなくなる程に快楽に溺れさせたのだ。





Fin.
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