OTHER

□TENNIS(リョーガ受)
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 ―――跡部は、紛い物は好かん―――


 忍足から立ち上る苛立ちと怒りに、リョーガは漠然と跡部の相手を知る。
 ストイックな雰囲気から彼が…青学の部長・手塚が性的な事を、しかも男相手にするとは、どうにも結びつかなかった。だが、跡部の肌に残されていた情事の痕が手塚の情欲を物語り、それによって苦しんでいる男が目の前にいる事は揺るぎない事実だ。
 船上でほんの数日顔を合わせただけの男の、意外な一面に感心している暇はなかった。
 忍足の口元が、歪んだ。
「ほんま、やらしい身体してんのやな」
 男の視線が向けられているのは、リョーガの下肢。
 淫らな躯はリョーガを裏切り、苦痛しか与えられていなかった行為の中で感じていたのだ。
「おぃ…っ…」
 気づいて羞恥に頬を染める間もない。
 下着ごとズボンを剥ぎ取られ、直に男の視線に曝される。
「痛い言うてても、ちゃんと反応させてんやんか。そないにココ好きなん?」
「っ―――」
 ベロリ…と舐められた乳首は傷ついているのかピリピリと痛み、リョーガは体を跳ねさせた。
 じわ…っと、また欲望から蜜が滲むのを感じて、思わず洩らしそうになった声を呑み込んだ。
「まぁた零れさせよって…とんだ好きモンや…」
 忍足が喉の奥で低く嗤った。


 ガシャ…!


「なっ…」
「暴れると妙なとこに針が刺さるで?」
 手首に、何重にもして巻きつけられたのは点滴の管。
 剥き出しになっている針を意識すると、リョーガの動きは鈍くなる。
 きつく縛り上げられた手首を開放しようと足掻いていると、無防備だった両脚を掴まれ、腰が浮く程に抱え上げられた。
「こっちまでビショビショや」
「放せっ…!」
 蹴り上げようとするが男の力は強く、叶わない。
 大きく開かされ、リョーガの秘部は人工の明かりに照らされた。
「散々咥え込んどる割には綺麗やないか。ちゃんと口閉じとる」
「このヤロ…っ、オレはタダ見させてやる程、お安くねぇんだよ…!」
 唾を吐き掛けるが、忍足はあっさりと避けてしまう。
「ほんま…じゃじゃ馬やな」
 眼を冷たく光らせた忍足が、傍らに手を伸ばす。
 キャスターつきの点滴の棒が引き寄せられ、管の余っていた部分で両脚をそれに縛り付けられた。間隔を空けて固定された脚は閉じられない上、両手も前に引かれて体を丸める事になり、自然と尻が浮いてしまうという憤死ものの格好だ。
「痛…っ!」
 いきなり乾いた指を突き立てられた恥孔が、引き攣れて悲鳴を上げる。
「ええ具合にきめがザラついて…締められたら気持ち良さそうやん」
 無造作に、何の配慮もなく中を弄る男の指。腹の裏で蠢く異物に、嫌悪感だけでないものを感じてしまう自分に呆れてしまう。
「んっ…」
 不意に掠められた一点に、リョーガは鼻に掛かった声を上げ、異物を締め付けた。
「随分と奥なんやな。自分のええとこ…」
「っ…ぅ、ぁ…」
 円を描くようにしこりを押され、ガクガクと腰が揺れた。
「バクバクしとる…裡の真っ赤な肉が丸見えやで?」
 忍足は、眼前で興じられたリョーガの痴態を見て嘲笑う。
 悔しいが、リョーガの体は完全に快楽の海に堕ちて行こうとしていた。奥が疼き、体の火照りを止められないのだ。
「まだいけそうやん」
「ちょ…っ、まだ…!」
 一本目に沿って挿入された二本目の指に圧迫感が増し、リョーガは呻いた。
「さすがに濡らさなアカンか…」
 バラバラに指を動かして内部を広げようとしていた忍足は、面倒臭そうに嘆息すると一気に指を引き抜いた。
「ぁっ…」
「何感じてんのや、ムカつく」
 舌打ちした忍足は前を寛げ、萎えたままの自身を掴み出した。全然反応していないのに、かなりの長さと太さがあるイチモツに、リョーガは思わずそれを裡に咥えた時の快感を想像してしまう。
「くっ…」
 指が髪に差し込まれ、上体を引き起こされる。
「咥え…欲しいんやったらな」
「いる…か、ンな…汚ねぇモン…っ」
 瞬間―――頬を張られ、髪の抜ける嫌な感覚が頭皮を襲った。
「このまま突っ込んだろか」
「はんっ…んなクニャチンで、入れられる訳ねぇだろ…」
「口の減らんやっちゃ…硬くするくらい何でもないんやで?」
 髪を掴んだリョーガの顔に突きつけるように、腰を突き出した忍足はもう一方の手で数度…自身を扱き上げる。
「―――」
「これで…壊されたいんか?」
 僅かに首を擡げただけなのに、今までのどの大人の雄よりもグロテスクで、巨根だった。
「自分の血ィで濡らしたいんやったら、構わんけどな…」
 こんなのを、充分な潤いもないまま突っ込まれたら、いくら男に慣れた自分の身体でも本当に壊されてしまう。
「どないするん?」
 忍足の問いに、リョーガは緩慢に動いた。
 雄に顔を近付け、悔しさに震える唇を開く。
 不安定な態勢のまま忍足のモノを咥え込むと、口腔いっぱいに雄の臭いが広がった。
「ン、く…っ」
「歯ぁ立てたら、自分のここ握り潰すで?」
 涎を垂らす欲望の下にぶら下がる、二つの袋を擦り合わせるようにして揉みしだかれる。
 痛みの方が断然強い快楽を与えられ、リョーガは喉の奥を震わせた。
 巨大な雄は全てを含みきれず、届かない根元の部分には舌を伸ばして這わせる。
 唾液を絡め、自分に」突き立てられる為の雄を育て上げる―――興奮。
「自分の舌技って、この程度なん?もうええわ」
「ふ、ぁ…っ…」
 いつしか夢中になっていた口戯を唐突に取り上げられたリョーガは、溜まっていた唾液と、熱い吐息を洩らした。
「さっきまでの勢いはどないしたん?滅茶苦茶エロい顔してんで…」
「あっ…」
 胸を押され、再びベッドに転がされる。
 蕾に、ヒタ…と触れさせられた肉棒。リョーガは抵抗の気持ちを忘れ、期待に心を震わせた。


 ズ…ヌプ…


 押し入ってくる漢は、見た目や口で感じたよりも大きく、リョーガの中を圧迫し、深いところまで侵略してくる。
「…ぁっ…」
 リョーガの弱いところを切っ先が掠め―――
「く、ひ―――」
 いきなり始まった激しい律動に、リョーガの身体はなす術なく揺さ振られた。
 驚いて戦慄く肉壁を無視して、硬い楔が我が物顔で裡を蹂躙していく。
 無理矢理焚き起こされた快楽の火はリョーガを支配し、翻弄する。
「ぁ…あっ…ふ、ぅ…っ」
 かつてない充足感に、リョーガの果実は悦びの涙をとめどなく零し、根元の叢と咥え込んだ雄を濡らしていく。
 忍足の欲望が奥に当たる度に淫らな水音が響き、リョーガのあえかな嬌声が、紅く艶やかに熟れた唇から零れた。
「じゃじゃ馬を跪かせるんも、おもろいかもしれへんな…」
「ひ、ぁっ…ンく…ぅ…あっ、そこ…!」
 昏い、忍足の呟きは、快楽の奔流に巻き込まれたリョーガには届いていなかった。
「っ…凄い締め付けや…食い千切る気ィかいな…」
「や、っ…ぁ、も…っと…深く…!」
「くくく…そないに焦らんでも、くれたるわ…!」
 一際強く、突き上げられる。
「ぁ、あ…ッ、ァァア―――!」
 男根を深く咥え込み、白濁の蜜を吹き上げたリョーガは、裡に叩きつけられる情欲を感じて静かに意識を沈ませた。





「決めたで……飼ったるわ、越前リョーガ…」
 欲望を引き抜いた忍足は、疲労の色の濃いリョーガの顔を見下ろして呟いた。

Fin.
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