ONE PIECE

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『瞳の中の世界』sample






「マルコー! 島見えたぞー!」
「今行くよい」
 ノックもなくドアを開けて入って来たのは、どこか幼さの残る顔立ちながら、千六百人からなる白ひげ海賊団の二番隊隊長を務める、マルコの恋人・エースだ。
 始めから気の強さを気に入っていたが、徐々に馴染んでいったエースの満面の笑みを見た瞬間、マルコは理念を捨てた。
 色恋沙汰に疎かったエースを、数々の女で培った話術・手管でおとして、今はベッドも共にする仲だ。
「なぁ、マルコ!」
「慌てなくても島は逃げないよい」
 急かす恋人に苦笑しながらも、呼ばれる事が嬉しい。
 マルコは最後の書類にサインを入れ、机の引き出しに仕舞って鍵をかけた。
 立ち上がるとすかさず腕を絡められ、仲間入りした当初では想像もできなかった懐きぶりが愛しい。
「待たせたねい」
 耳朶に囁き、髪に口付けるだけで真っ赤になる純朴さが堪らない。
 男同士でというより、恋仲という関係に照れるエースは、軽いスキンシップにも過剰に反応する。
 自分から腕を絡めてくる積極さはあるのに、とも思うのだが、そこの線引きはエースの中が覗けないマルコには知る術がない
「…見られたらどうすんだよっ」
「この部屋へノックもせずに入って来るのは、お前くらいだよい」
 大っぴらにした訳ではないが、マルコとエースの関係に気付いている者もいる。
 だけどそれをエースは知らないし、知られたくないと思っているようでもあるし、マルコは部屋の外では手を出さないようにしていた。
 エースからのスキンシップが唯一だ。
「これから人目のある場所に出るだろい。その間お前に触れないから、エース補給だよい」
「…何だよ、それ…バカ言ってないで行くぞっ」
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