ONE PIECE

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『キッカケは何でもいいから』sample


「っ…!」
「押し倒してくるなんて積極的だねい。誘っているのかい?」
「違う!」
 助けてもらったと言えるのだろうが、どうにも釈然としない。
 体を起こし、猛然と否定するが、自分の都合がいいように解釈し、にやついた男に受け入れられるはずもない。
「お前ら、こんな大衆の面前で見せ付けるなよ」
「見せつけてない…!」
「それもそうだねい」
「おいっ…!」
 立ち上がったマルコに軽々と担ぎ上げられ、天と地が逆転する。
「有事に誰かが滑ったら事だからねい。氷の張っている所は除去しておいてくれるかい?」
 傍らの船員に言いながら、マルコが歩き出す。
「離せぇ!」
 暴れると尻を揉まれ、顔を真っ赤にしながら攫われていくエースを、助けようとする者は誰一人としていない。
「定例会議には遅れるなよ〜」
 掛けられる声にマルコが手を上げて応える。
 仲間に対する態度にしては行き過ぎなマルコの行為も、エース相手になら納得されてしまうのだ。
 エースがマルコの恋人だから。
 マルコがエースの恋人だから。
 たったそれだけの理由で、仲間は誰も諫めてくれない。
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