ONE PIECE

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 『不意討ち』sample



「着いたよい」
 身体の熱に翻弄されていたエースは、声を掛けられてようやく顔を上げた。そこは、今まで入った事も見た事もなかったマルコの部屋。
 整然と片付いた部屋の中で、机の上だけが書類の山に埋もれている。
 ブーツをもぎ取られ、ベッドの上に下ろされて、マルコを見上げた。
「え…と…その…マルコ…?」
 上着を脱ぎ捨るマルコの視線が恐い。
 引き攣った笑いを浮かべながら無意識に後退ると、すかさず足首を掴まれて引き戻された。
「ぎゃっ!」
「色気のねぇ声を出すんじゃねぇよい」
「知るか!」
 下着ごとハーフパンツを脱がしながらの、あまりにも身勝手な発言に憤死しそうになる。
「ちょ…やめろ、マルコ…!」
 これから何をされるのか。
 嫌な予感が現実に起こり得る可能性が限りなく高い現状に、エースは必死に抵抗した。
「おれが悪かった! こんな事、お前に頼んじゃいけないってわかったから!」
「ほう? じゃあ、誰に頼むんだよい」
「自分でやるっ」
「ろくに皮も剥けねぇくれぇしか弄った事がないくせに? そんな力入ってねぇ手で気持ち良くなれんのかい?」
「…じゃあ、そういうお仕事のお姉ちゃん…」
「キスだけでビンビンに勃たせて、触っただけでイっちまうようなお前には、商売女は刺激が強過ぎるよい」
「むぅ…ンな事ねぇよ。前に一回、そういう姉ちゃんにしてもらった時は、さっきマルコにされた時程早くイかなかったし――…あ」
 暴露してしまってから、慌てて口を押さえても遅い。
 これではマルコのキスや愛撫が気持ち良かったと、白状しているようなものだ。
 一瞬、目を瞠ったマルコは、エースから引き抜いたハーフパンツと下着をベッド脇に放り投げ、にやりと唇の端を持ち上げた。
「可愛いねい」
「待った! 今のナシ!」
「待ったナシだよい。安心しろい。気持ち良くしてやるからよい」
「冗談じゃ…んんっ!」
 重なってきた唇にエースの文句は吸い込まれてしまった。
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