01/27の日記

11:02
日常64(小話)
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レナム医師を訪ねると、診察室に通された。いつもと違うのは、看護師の姿はなく、人払いをされているようであることであった。
「ご無沙汰してすみません。」
「いやいや。連絡がなかったということは、元気であったということだから、それでいいんだよ。」
穏やかな佇まいの医師が、胸ポケットにしまってあった丸メガネをかけ、患者用の椅子を勧める。
アルフォンスを見届けてから、医師もその目の前の椅子に座った。

「今日伺ったのは、電話でもお話しましたが、兄のことです。」

いてもたってもいらず、早速切り出した本題に、少し、困った様子で、レナムが微笑んだ。だが、何も語ろうとはしない。

「先生は、僕と同様に兄の身体も診察してくださっていましたよね。何か、僕が知らないことで、兄の何か、ご存知なことはありませんか?何でもいいんです。」

答えを待てば、静寂が訪れ、アルフォンスはさらに言い募ろうとしたところで、レナムが口を開いた。

「お兄さんは、君には何と?」

「兄は、何も。…何も言わずに、今は、何処かに…」

何処かに、そう呟いて項垂れたアルフォンスに、レナムはしばらく何も言わなかった。
そして、ひとつ咳払いをした。
顔をあげると、レナムはいつもの、変わらない優しい笑顔であった。

「私が軍の人間である以上、身内であっても、君には、エルリック中佐の身体のことをお話することはできないんだよ。もちろん、カルテを見せることもできない。」

エルリック中佐…

それは、恐らく兄から、口止めされているということなのであろう。
軍直轄の病院であり、医師とはいえ、レナムに軍の規律に背くようなことはできない。

「…でもね、お兄さんのカルテを見た人間が、私以外にもう1人いるんだよ。」

可能性に爪が掛かった。
一筋の光。
兄の手が回っていない誰かが、兄の何かを知っているに違いない。今はそう思うこととした。
レナムが電話をとる。

「お忙しい方だからね。アポイントを取ってあげよう。君も、よくご存知の方だよ。」


ーーーーマスタング少将に。

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