『…う、あててっ』
ぱちりと瞼を上げる。ぐーっと横になったまま伸びをして、ってか頭痛い。いつの間にか寝てしまったとぼーっとしてたのも束の間、一瞬のうちにパニックのような気持ちで頭がいっぱいになった。
午前五時
目が覚めて視界が捕らえたものは、見知らぬ天井。目を白黒させ、まだ覚醒しない脳をフル回転させる。寝起き特有のまどろみはどこへ行っちゃったの。
「…」
『ひ…っ!』
ふと隣で何かを感じた。温かな、擦り寄るように私に巻き付く腕にぞっとする。若干の二日酔いと状況確認で全く意識が向いていなかったが、よくよく考えれば確かに布団は生温かかったかのように思う。てかこれ、人…の腕、だよね?
あろうことかその腕は背後から回されたもので、誰のものなのか分からないが、男の人だということだけがわかった。
わけが分からない。だって昨日は友達との飲み会で、夜更けまで飲み明かしていたはずだ。
甘いカクテルに騙されどんどん体内に貯まっていくアルコール濃度に私たちのが外れていって、何だか凄く気分がよかった。
…で、どうなったっけ?
「…ん、」
『?!』
鼻から抜ける篭った声にぴくりと動いた私の体が、次の瞬間がっちりと抱きしめられる。
『?!!』
人は驚くと声も出ない。私の首筋に男の頭が寄り添って、耳元からダイレクトに寝息が聞こえる。というか本当誰この人!
純情失踪事件
「…ん。あ、お、…おはよう」
『(喋った…!)』
110305〜