空想小説

□昔話
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「右大臣、左大臣。何か面白いことはないか?」
『はーっ!?』
「何を驚く。宮たちが退屈で仕方ないとうるさいのだ」
「お言葉ですが、帝。退屈ということは平和の証拠。いいことではありませぬか」
「左大臣の言うとおりだぜ。宮様たちには我慢してもらえよ」
「ちょっと信くん。いくら仲が良いからってタメ口はまずいですって!?」
「イナケン。気にするな。今は俺たちしかいないんだしな」
「しかし!!」
「智也がそう言ってるからいいんだよ。ところで、言い出しっぺは誰だよ?」
「そんなの決まってるだろ。彩花と唯笑だよ」
「また中宮のお二人ですか!?」
「この前言い出したのって何時だっけ?」
「確か一週間ぐらい前だな」
「帝、失礼致します」
「どうした?」
「彩花様がお呼びでございます」
「わかった。すぐ行く。いつもすまないな、祐巳」
「いえ、それが私の仕事ですから」
「そうか。下がっていてくれ」
「わかりました」
「信、イナケン、今日はありがとうな。何か面白そうなことがあったら教えてくれ」
『わかった』
「待たせたな、祐巳」
「いいえ。あ、お姉さま!」
「あら、祐巳。どうしたの?」
「これから帝を彩花様のところにお連れするんです」
「そうなの?困ったわ。唯笑様もお呼びなのよ」
「ならば、唯笑を連れて彩花のところに来ればいい」
「あ、帝。挨拶が遅れました。ごきげんよう」
「ごきげんよう。祐巳、君も祥子と一緒に行って、唯笑を呼んできてもらえるかな?」
「でも、帝を…」
「私なら大丈夫だから、な?」
「他ならぬ帝の頼み。喜んでお受けさせていただきます」
「祥子もいいかな?」
「帝に反対する意味がありませんもの。それより、お心遣いありがとうございます」
「な、何のことかな。じゃ、先に行ってるよ」
「お姉さま、帝のお心遣いってなんですか?」
「何でしょうね」
「教えてください、お姉さま」
「教えてあげるけど、今は唯笑様を迎えに行くのが先決よ」
「わかりました。それじゃ、後で教えてくださいね」
「えぇ。いいわよ」
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