今日の青春学園

□vol.5 実力があったからレギュラーになれたんだもの
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「よし」


朝一番に部室の鍵を開けて一番乗りで着替え始める。洗濯されたばかりのレギュラー専用のジャージに袖を通し、前を閉めて着替えを完了させる。そこまでが大石秀一郎のいつもの朝の時間であった。


コンコン


そこへ部室をノックする音が聞こえた。静かな部室にはよく響いたので気のせいではないとすぐに判断し、扉に目を向ける。扉のすぐ横に窓があるが微かに人影が見える程度で誰だかを判別するには難しく、部員であればわざわざノックをすることはないので大石は不思議に思い、扉に近付くとドアノブを回してゆっくりと扉を開けた。


「…はい?」

「今日から男子テニス部で練習をすることになった赤宮麻美だ」


目の前に立つ少女の姿は既に青学テニス部女子ウェアに着替えテニスバッグを担いでる。少女の名を聞くと大石は「あぁっ」と声をあげた。


「君が赤宮さんだね、ミクスド大会青学代表として男子テニス部での練習に参加するって話は聞いてるよ。あ、俺は副部長の大石秀一郎。何か分からないことがあれば何でも聞いてくれ」

「あぁ」

「それにしても早いなぁ。まだ俺以外のメンバーは来てないんだ。悪いけど練習が始まるにはもう少し時間が掛かるんだけど…」

「自主練するから頃合いを見てからまた来る」

「そうかい?じゃあまたあとで」

「ん」


こくりと頷くと麻美はテニスバッグを担いだまま部室に背を向け、男子テニス部のコートとは別の場所で自主練習をするのか男子テニス部の敷地から出て行った。大石は黙ったまま彼女の後ろ姿を見つめる。


(…随分とクールな子だな)



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