海×クレフ1

□the origin
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─────その頃のセフィーロ。



柱のいないセフィーロは混沌としていた。
荒れ狂う大地に、かつての緑や海に恵まれた地形の面影は全く見当たらない。
その代わりに、柱三本を基調とする城が出来上がっていた。
セフィーロの導師や魔操師が集結し、セフィーロの民を守ろうと意思の力で作られた城。
その城の中枢で天井をみて、荒れ狂うセフィーロを悲しそうな眼で見つめる一人の少年がいた。

その名は導師クレフ。
魔法騎士を、辛い戦いへと導いた者だ。

魔法騎士にすまなかった、そしてありがとうと伝えて下さい……

先代の柱であった、エメロード姫の最後の言葉を繰り返しては、魔法騎士達の事を思い浮かべる。
魔法騎士の役目は終わり、彼女たちが再びこの地に降りることはないのだろうな…と半ば諦めのような口調で呟き、視線を落とす。

出来るならばエメロード姫の言葉と一緒に、

辛い戦いへと導いたのはこの私だ…すまない

と詫びたい……
あの、やかましい程の元気さと、誰よりも優しい心の持ち主である水色の髪の少女も、真実を知り泣いているに違いない。

お前達に選択の余地はない

と彼女らが初めてセフィーロに来て、トウキョウとやらに帰りたいと騒がしいのを静めようと、自分も良くそんな残酷な事を言ったもんだなと自嘲した。

自分の我侭だが…
願わくば、もう一度魔法騎士がこのセフィーロに訪れん事を……

〜end〜
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