海×クレフ1
□奏でられし前奏曲
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一瞬何が起きたか解らなかったが、確か…と行き着いた思考にハッと顔を上げる。
そこには、今しがた4人を城に呼び戻した彼がうつぶせに倒れていた。
「クレフ!!」
急いで彼に駆け寄り、身体を膝の上に起こして額に触れた。
彼の深く蒼い眼が、少し開かれた。
「ウミ…無事で良かった……」
彼女の無事な姿を確かめると、何故悲しそうな顔をしているのかなど思考が辿りつかないうちに、そのまま彼は意識を落とした。
「クレフ……」
『奏でられし前奏曲』
「クレフ…クレフっ!」
何度か彼の身体を揺さぶるが、一向に意識が戻る気配は無い。
セフィーロ最高の導師が、倒れるほどの魔法を使った事態に4人は
浅はかな行動だったと深く反省する。
……と共に、海だけは他の仲間には無い、違う感情をどうしたらいいか解らないという風に何度も何度も彼を呼び続けた。
今回も彼は助けてくれた…
魔法騎士の真実を知り、謝りに行ったあの夜のように……
自分の身を挺してまで…