GUNDAM00
□深水
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バサバサバサと雪崩の如く本類や雑誌類が滑り落ちていく。手で制しても既に遅く、本棚の三段目はほぼからっぽだった。
自分のトロさを呪いながら一冊ずつ整頓していくうちに、今では珍しい手書きの手紙が出て来た。
他人に宛てた手紙を見てしまうことに抵抗はあったが、好奇心がそれを上回る。
大体、此処の掃除を頼んだのはライル本人なんだから、と残る私の良心に説得をした。
…差出人は書いていない。
封もしていない。
真っ白い封筒だった。
今更躊躇いもない、中身を出してみるとこれもまた、真っ白い便箋に明らか男の物ではないだろう字が綴られていた。
内容は説明するまでもなく、ラブレターだったわけだ。
…ライルの勤め先の女の子からなのだろうか…。そりゃあの容姿でモテないわけないだろうと言うのは理解している。
…だけれど
「、やめよう」
これ以上考えても埒があかない。
見るんじゃなかった、と自己嫌悪に陥りながら手紙を本の隙間に戻した。
自分のやるせなさに吐き気を覚える。
…いい年なのに嫉妬って…
ライルが聞いたらどう思うだろう
私はどうもむしゃくしゃするので本の隙間からまた手紙を取り出すとソレスタルビーイングで鍛えた自慢の握力でそれを握り潰した。
*
「…嫉妬ねえ」
「…手紙を勝手に見たことは悪いと思ってる」
それまでの経緯は省かせてもらうが、見事あの無残な紙が見つかってしまった。
言い訳しようがないし、(しようとも思わなかった)午前中の出来事を素直に話すと、ライルは何か考えるようなそぶりを見せた。
「いい年して子供かって…笑っちゃうよね」
「いや、」
ライルはそっと私の大して大きくない頭を自身の手の平で撫でた。
「可愛い」
深水
2090413