FinalFantasy7

□遠く深紅の輝き
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※軽くR-15くらい。自己責任でお願いします




目を瞑って、思い切り舌を噛んだ。自傷というものを初めてしてみたものの、他人から傷つけられるより痛みが酷かった。

舌を噛み切る、ただそれだけの行為で死ねると思ったのが甘かった。残るのは痛みのみで、全く死に近づけたという感覚が無い。残る私の自制が自ら死ぬのを留めたみたいだった。


「お前は馬鹿か、と。舌きりで死ねるんだったら猿轡くらいとっくにしてるぞ、と」


地に落ちる私の血液より真っ赤なかみの毛の男が言った。
今にでも襲い掛かりたかったが、手は後ろで縛られた上に、背後からレノに拘束されている状態(一般的に言えば抱きしめられている)
なので、身動き一つできない。床が冷たい。
耳元で囁くレノの声が耳障りだ。耳をそのまま切り落としたいくらい。
レノは私の口の端から零れ落ちる血を指先で掬うとわざと私に見せ付けるように自身の赤い舌で舐めとった。
一連の動作の節々が艶かしい。
レノの存在を感じる五感の一つでも無くしたくて、私はぎゅうと目を強く目を再度瞑りなおした。


「そんなに俺が嫌かよ」


まだ力は入らないが、また舌を噛み切ろうとすると、私の口の中に異物がぬるりと入り込む。
レノの指が、私の歯と舌の間に入り込んだ。これ以上私の流血を妨げたいのだろうか。
しかし代わりにレノが痛みを覚えた。


「っ、」


慌てて顔を背けると案外簡単に指は口から抜けた。
この人は何をしたいのかが分からない。どうしても理解することが出来ない。
いきなり人を拉致ったかと思えば、密室に二人きり。

「どうしてもあの金髪がいいのかよ、と。」
「俺じゃ駄目か?」


私の解釈が正しいのならば、この人は私が好き。
ただ一言で好きと括る事が正しいというのならばそうであるしかない。


「私がどんなにされても貴方を好きにはなれません。」


その言葉にレノが はっ、 と笑う。


「あの金髪は黒髪の…ティファだっけか?アイツと両想いに見えるが…お前はわかってるんだろ?と」

「ええ分かってるわよ。解ってるから辛い。何度もパーティを離脱しようと思ったわよ。
でもね、アンタの執着心よろしく、私も伊達にクラウドが好きなわけじゃないわよ。
ただ、もう辛い。ここに連れて来られた時あまり抵抗しなかったのも理由が出来たからかもね。
でもきっと仲間想いのクラウド達は私を助けに来る。それまでの茶番くらいには付き合ってあげる」

「茶番なんていうなよ。俺は本気だぞ、と」


今度は私が笑う番だった。
自嘲気味に笑うとレノに怪しまれた。
本気、か。それも伝わらなければ意味が無い。言葉にしないと伝わらないことがある。
人間完全に万能なわけではないから。
ただ一方通行のしがない想いなんて何にもならない。
レノはそれが伝えられる分私より強い。
こんな弱い私を好きになってなんのメリットがあるんだか。
まあ、クラウドが来るまで好きなフリをしてあげてもいいかもしれない。
それでお互いの気持ちを慰めあえるのなら。









いや、特にタイトルに意味はないんですけど、某M野さんのgarnetという曲をきいたものですから…(笑)

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