FinalFantasy7

□午前2時の告白
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身体は疲れているのに、どうしても睡魔が来ない。
いつもみたいに会社帰りすぐ、ソファに倒れこんでも瞼が落ちてくる気配が全く無い。
重い腕をあげて、サイドテーブルに乗っているリモコンでテレビをつけるが、この深夜帯ではくだらないバラエティ番組がチャンネルを占めるだけだった。
つまらないなあと思いながらもチャンネルをまわしていくと、コスタ・デル・ソル夏のリゾート特集なるものをしていた。
素直にいいなあと思う。新しい水着で長年の友人とビーチで日焼けかあ、そんな妄想が働いたときに玄関のドアが開く音がした。

「邪魔するぞ、と。相変わらず無用心だな」
「なんであんたがここにくんのよー…」

力の入らない声で言ったからなのか、レノには届かなかった。
律儀に(足でだけど)靴を揃えるレノに何故ここにくるのか疑問がわく。
レノはしゃがんで、ソファに倒れこむ私の顔を見ると、 おっ と声をあげた。

「今日は起きてんのかよ、と。珍しいな」
「え、何どういうこと?」「いつもはお前ここで寝てるだろ?」
「うん。っていうかなんで知って…」
「お前なあ、ソファで寝てんのに朝起きて何でベッドで寝てるか疑問に思ったこと無いか?」


いや、それは夢うつつのなか朦朧とした意識で私自身がベッドに移動したからじゃないのだろうか?
確かにベッドに移動した記憶が無いのは半分夢の中に入りかけているからで…。
ということをレノに伝えれば、大げさなくらいレノは顔をしかめた。はあ?と


「ばっかお前、毎日ベッドまで運んでやってんのはこのレノ様なんだぞ、と。
今まで気づかなかったのかお前は?!」
「ええええ…なにそれー…じゃあ毎日私の部屋に来てたってこと…?」
「その他になにがあるんだよ、と。
毎日顔を合わせる度言ってるだろ?ちゃんと鍵閉めろって。無用心にも程があるぞ、と」


ああ、納得。
毎日鍵の閉まってない私の部屋のドアの存在を知っているからレノは毎回私に鍵を閉めろとしつこくいってくるのか。
…じゃなくて、私が毎朝出勤するときにはちゃんと鍵が掛かってるんだけど…。
レノが出て行った後に鍵が掛けられてるとするならば…、答えは一つ。


「っていうことはあんた、合鍵作ってるでしょ?私の部屋の。」
「ピンポーン」


ほれ、と見せられたのは見慣れた私の部屋の鍵だった。


「訴えるわよ。」
「彼氏相手をか?」


レノは、ソファにもたれるようにして床に座り込んだ。
そのまま頭を私の背中にもたれる。
あー… と言ったきりレノは動かなくなった。レノも相当疲れているみたいだ。

「つかもう此処までくんの面倒くせえし、いっそのこと同棲でもしちまうか?」「えー」
「えーってなんだよ、と。あ、新婚旅行はコスタ・デル・ソルでいいよな」
「結婚前提ですか」
「悪いかよ、と」
「全然、嬉しいよ」

たまに素直になってみればレノは面食らったように私を見つめた。
ガリガリとレノは頭の後ろを掻くと、あー…と言った後に結婚指輪は後々な、とレノは言う。
疲れとストレスでかさついた私の唇にキスを一つ落とした。
さーて、今夜は一緒に寝ますか と言ったレノの表情に生き生きとしたものを見つけなかったわけではない…。
明日は有給をつかう羽目になりそうだ。



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